地面師事件の衝撃、三菱UFJに送られた「マネロン書簡」を入手した!

多数かつ多額の小切手が、なぜ…?
藤岡 雅 プロフィール

消えた巨額マネー

そうした最中に前述の「書簡」が送られたのだから、なおさら注目を集めているわけだ。

では、その「書簡」には何が書かれていたのか――以下、その中身を見ていこう。

〔photo〕gettyimages

まず書簡には「英語版」と「日本語版」があるが、筆者は日本語版に基づいて記事を書いていく。

送付された日付は2020年1月9日。送付人の名義は、コーポレートガバナンスを専門分野とする日系アメリカ人の弁護士、ウィリアム・ウチモト氏と、大阪シティ法律事務所の弁護士である松岡直樹氏。松岡氏は積水ハウス会長の阿部氏らの地面師事件における善管注意義務違反を問う株主代表訴訟の代理人でもある。

この書簡は三菱UFJの三毛兼承社長やグローバル金融犯罪を担当する半沢淳一執行役常務、そして三菱UFJ銀行の執行役員でニューヨークを拠点にしているウィリアム・ラングフォードグローバル金融犯罪対策部長に対して送付されている。

その表題は次の通りだ。

〈五反田地面師詐欺事件と積水ハウスの55.5億円(51.9百万米ドル)の損失につながった資金送金のマネー・ローンダリング及びテロリスト資金供与に関する速やかな調査のお願い〉

「マネー・ローンダリング」や「テロリスト資金供与」などという物々しい言葉が並んでいるのが目を引く。

 

さらに、「書簡」は三菱UFJに対して次のように指摘するのだ。

〈我々は、三菱UFJ銀行(以下「貴行」)に対し、貴行を通じたマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の可能性がある疑わしい取引に関する透明性・詳細を調査し、その結果を我々に提供して頂きますよう要請致します。

ご承知のように、最終的には地面師が関係した日本で最も悪名高い詐欺の一つであると判明した取引において、貴行は資金の支払・送金を担いました。この不祥事により積水ハウスとその株主は55億5000万円(5190万米ドル)の損失を被りましたが、その損失額は全く回収されておりません。

(中略)

貴行はこの不正取引が行われることを防ぐことができたはずであるため、2001年の米国同時多発テロ事件以降のマネー・ローンダリングおよび反テロ資金供与スキームについての極めて厳格な対応と報告を必要とする環境下で求められる金融機関としての責任を全うしなかった可能性があると考えます〉