マタハラは会社全体に悪影響

さゆりさんは運よく間を開けずに会社員であり続けることができたが、もし運がなければ、マタハラを理由に仕事を辞め、キャリアを諦めていたかもしれない。

さゆりさんはマタハラに遭った会社について、「こうやって社員のモチベーションを下げて、意味ある? と思いました」と言う。もし、マタハラを受けずに前職に籍を置いたまま出産ができていたら、復帰後にどれだけモチベーション高く力を発揮できたであろうか。

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また、マタハラを受けている社員を近くで見ている社員の気持ちはどうだっただろうか。女性社員なら、「自分も妊娠すれば、あのような扱いを受けるのか」と不安な気持ちになるだろうし、男性社員なら、「こんな会社で男性が育休を取れるはずもない」と思うだろう。

結婚や出産などのライフプランを考え始めた時、その会社に残るかどうかは検討せざるを得なくなる。マタハラは、妊婦本人に与えている影響だけでなく、周囲のモチベーションや離職にも影響することを、会社も知るべきである。

では、マタハラが実際に自分の身に起きた時、どうしたらいいのか。

できるだけ記録を残す

まずは、できるだけ記録を残して欲しい。もちろん、これはハラスメント全体に言えることだが、ハラスメントというものは予期できない。いきなり嫌なことを言われたりされたりする。そのため、証拠を残すことが難しい。

実際、さゆりさんも妊娠を報告した時にはそんなことを言われるとは思っておらず、当然、録音もしていなかった。しかし、彼女は2回目の面談以降、すべての会話を録音し、ハラスメントの証拠を残すようにしていたという。このように、「これはハラスメントなんじゃないか」と思ったその時から、録音やメールの記録など、証拠集めをした方がよいだろう。