仕事柄、働く妊婦の声を聞くことがある。ひと昔前までは妊娠を機に仕事を辞め、専業主婦になる女性が多かったが、今は働き続けることを希望する女性も多い。出産を機に離職した人を対象に行なった調査でも、本当は出産後も働き続けたかったという女性が6割にも上る(パーソル総合研究所「ワーキングマザー調査」より)

産休育休の制度も整い、女性活躍推進が叫ばれているこの状況下においても、多くの女性が出産を機にキャリアを断念しているというこの現実。なかでも近年問題になっているのが、妊娠・出産を理由に職場で不当な扱いを受けるマタニティー・ハラスメント、通称「マタハラ」だ。今回、その被害に遭ったという女性から話を聞いた。

妊娠を告げたら「減給」を言い渡された

都内のIT企業に勤める30代女性の高木さゆりさん(仮名)は、1歳1ヶ月になる女の子を抱えてインタビューに応じてくれた。彼女は、業務のハードさから1年も経たずして辞めていく社員が後を絶たない職場の中で、3年も務めていた。妊娠発覚前には昇給も決まっており、いわゆるエース社員として活躍していた。

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2018年6月に妊娠が分かり、会社の代表に報告。すると、そこで来月から減給することを提案されたという。みなし残業代として払っていた給与をカットしたい、と。さゆりさんは妊娠してからも妊娠前と同じように勤務し、残業もしていた。それなのに、なぜ残業代をカットされなければならないのだろうか。

「会社が提携している社労士に相談したところ、『それはおかしい』という回答がありました。その回答内容を減給を提案してきた代表に伝えると、いったん残業代カットの話はなくなりました。でも、それから2ヶ月経った頃、会社はまた新たな手を打ってきたんです」(さゆりさん、以下同)

2ヶ月後の2018年8月、代表は「役職を下げて減給したい」と言ってきたという。ここまでくると、会社の「どうしても減給したい」という思いが透けて見える。