「キャリアと家庭のバランスなんてとってない」

――エイミーさんには劇作家でありジャーナリストの夫と息子さんがいらっしゃいますが、キャリアと家族のバランスをとるのが難しいのでは?

エイミー:バランスなんてとっていませんよ(笑)! 私にはかけがいのない夫と息子がいて、彼らは私にはもったいないくらい私の仕事に理解があるのですが、妻として母として、しょっちゅう罪悪感を感じています(笑)。

でもね、私はこの仕事が大好き。小さな頃から映画作りに関わりたいと思っていて、大学卒業後は小さな制作会社から始めて、メジャースタジオの幹部になり、今は自分の制作会社を立ち上げました。こんなに好きなことはあきらめられないし、仕事をするのが私のアイデンティティ。なので、自分のできる範囲でよき母、よき妻でいようと努力するしかないですよね。

自分のアイデンティティを守りながら、家事・育児はできる範囲でやる〔PHOTO〕iStock 
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――ソニー・ピクチャーズのようなメジャースタジオの幹部と、自分が経営する制作会社の映画プロデューサー。まったく違う環境だと思いますが、仕事に対する向き合い方は変わりましたか?

エイミー:ソニー・ピクチャーズという大きな会社を運営する立場にいたときは、「自分の声」が聞こえなくなっていました。いつも会社のためにベストな判断を下したいと、「自分の本能」や「内なる声」を無視して、他の誰かの声に応えるようになってしまった。そうすると、他人の評価ばかり気にするようになって。他人に優れていると思われたい、あるいは、他人を喜ばせたいという「自分のエゴ」にとらわれて自分を見失っていたような気がします。

そういう意味では、プロデューサーとして自分の好きな映画だけを作っている今が一番幸せですね。映画は商品でもあるので、自分が作りたい映画からお金を生み出す、ということは大変ですが、やりたいことなので苦労だと感じません。私にとって、仕事とは競争ではないんです。私たちができることといえば、自分に忠実に、自分に対してベストを尽くすということ。でも、何もかも自分で成し遂げられるわけではない。自分のできないことは誰か他の人の助けを求めながら、自分の目標に向かってベストを尽くす。これが、私が自らの長いキャリアで学んだことです。