92年続く米アカデミー賞史上、監督賞にノミネートされた女性はたったの5人。近年、白人男性優位だと批判されるハリウッドだが、今年のアカデミー賞ではポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が外国語映画で初となる作品賞に輝いた上に、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を制して、ダイバーシティ&インクルージョンがいかにも進んでいるように見えた。

しかしながら、監督賞にノミネートされた女性監督は一人もいなかった。このことに抗議したオスカー女優ナタリー・ポートマンは授賞式で羽織ったケープに、ノミネートされるべき女性監督たちの名前を金色の糸で刺繍し話題を集めた。

ケープの左側の襟に、グレタ・ガーウィグ、ルル・ワンら8人の女性監督の名前が刺繍されている〔PHOTO〕Getty Images

そんな白人男性優位のハリウッドの中枢に生きる女性がいる。彼女の名前はエイミー・パスカル。UCLAを卒業後、小さな映画制作会社の秘書として働いた彼女は、その勤勉さと若い才能を見抜く力でめきめきと頭角を現し、1980年代後半には20世紀フォックスのバイスプレジデントなどの要職につき、2006年から2015年までソニー・ピクチャーズ エンタテイメントの共同会長に就任。映画『スパイダーマン』シリーズを手掛け、ハリウッドで最も影響力のある女性のひとりとなった。

左端がエイミー・パスカルさん。『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』に出演する女優たちと

その後、2016年には自身の映画制作会社パスカル・ピクチャーズを設立。今年のアカデミー賞で作品賞や主演女優賞を含む6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞したグレタ・ガーウィグ監督作『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(新型コロナウイルスの影響で、公開が初夏に延期)をプロデュースし、制作したのも彼女である。

生き馬の目を抜くほど競争が激しいハリウッドで35年以上もサバイブしてきた彼女に、男女の格差、仕事と家庭の両立といった現代女性が悩む問題について率直に語ってもらった。