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恐怖の「アフリカ豚熱」が、新型コロナの陰で日本に上陸する可能性

21世紀は疫病の時代なのかもしれない

「豚熱」は国境を超える

「殺処分をして、ウイルスをここで食い止めなければなりません。本当に申し訳ない……」

'19年2月、愛知県田原市にある瓜生陽一氏(53歳)の養豚場を訪れた県職員は、涙声でこう告げた。瓜生氏が振り返る。

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「殺処分は、県職員と獣医、自衛隊の数百人態勢で、8時間3交代制で行われました。3700頭を処分する作業に追われ、悲しいという感情すら失ってしまいました」

瓜生氏が養豚場を再開したのは7ヵ月が経った昨年9月のことだった。36頭の雌豚を搬入、順調にいけば今年9月には初出荷ができるという。

'18年に日本で26年ぶりに確認された豚熱(豚コレラ)は、岐阜県から愛知県、三重県などに広がり、埼玉県にまで拡大した。その後、殺処分とワクチンの接種によって勢いは弱まり、恐怖は去ったかに見えた。

だが、養豚農家は警戒を解いてはいない。今回の豚熱よりも強力な「アフリカ豚熱」が、国境を超えて日本にやって来る可能性があるからだ。

「アフリカ豚熱の致死率はほぼ100%で、有効なワクチンもありません。しかもベトナムや中国で作られた違法ワクチンも出回っており、より発見や制圧が困難な新型ウイルスに変異する可能性もあります」(宮崎大学農学部獣医学科教授・末吉益雄氏)

アフリカ豚熱は現在、中国、韓国、ベトナム、インドネシアなどで発生している。中国では、'18年8月の発見からわずか1年で全土に感染が拡大し、計90万頭の豚が殺処分された。もし日本国内で感染が確認されれば、最大で半径3キロ以内の豚を殺処分すると決められている。

 

では、海を隔てた外国のアフリカ豚熱が、いったいどうやって日本にやってくるのか。

「人間が、ウイルスがついたソーセージや餃子などを、空路や船で持ち込んでしまうのです」(北海道大学大学院獣医学研究院教授・迫田義博氏)