老人ホームに入った父親に「もう死にたい」と言われた息子の苦悩

だから自宅を売ってはいけない
週刊現代 プロフィール

意識がしっかりしているだけに、「外出したい」「できません」というやり取りを繰り返していれば、いちいち不愉快な気分になるだろう。入所前にそのホームについて十分な下調べをしなかったために、毎日地獄のような苦しみを味わった人もいる。

川口市に住む河野徹さん(56歳・仮名)は、78歳の父が老人ホームに入った際の、こんなトラブルを明かす。

「父は住宅型老人ホームに入ったのですが、入居から1年ほどが経ったときに『もう死にたい。早くここを出たい』と言い出したのです」

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河野さんの父は、入所時は要支援1(排泄や食事はおおむね一人でできる状態)のレベルだった。ところが、なぜか入居したホームから要介護2(排泄や食事、立ち上がりに介助が必要)と認定され、入浴・トイレの介助などを受けさせられたという。

「自宅にいるときには自分でできたことを、なぜかさせてくれない。強制的に生活の自由を奪われることに疲れていました」

実は、これには理由がある。悪質な業者が運営している老人ホームでは、儲けを増やすために、本来は必要のない介護サービスを入居者に提供することがあるのだ。

高齢者向け住宅では、その事業者が運営する介護サービス業者が併設されているのが一般的だ。

 

本来は入居者に本当に必要な介護サービスのみを提供するが、悪質な業者は、入居者の介護度を上げるなどして介護サービスを目一杯提供し、その分だけ「介護報酬」を受け取ろうとする。

河野さんの父親は、不必要な介護サービスを受け続けることで、尊厳を失っていったという。