赤ヘル打線「最後のピース」高橋慶彦が走りまくった、カープの1979年

足を武器にプロの世界を生き抜いた男
週刊現代 プロフィール

新記録と日本シリーズ

その脚力と並んで、この年、もうひとつ高橋が野球ファンを魅了したのが、連続安打記録の達成だった。

6月初旬から毎試合ヒットを打ち続けた高橋は、気づけば'71年に長池徳士(阪急)が作ったプロ野球記録32試合に並んでいた。

そして7月31日、達成すれば新記録となる33試合目の先発マウンドにいたのは、巨人のエース新浦壽夫だった。

新浦はこの前年、15勝を挙げてチームの勝ち頭となり、脂が乗り切っていた。

「あの日、慶彦が打てば新記録ということは、もちろん知っていました。『やるなら早くやっちまえ』くらいに思っていましたよ。

なにしろ、慶彦が打席に入るたびに球場は大騒ぎだし、広島の選手たちが、『なんとか慶彦にもう一打席回そう』と、一丸となってかかってくるのが本当に手強かった。投げるべきところに投げて打たれたらしかたがないなと思いつつ、放りました」(新浦)

そうして新浦が投げたボールを、高橋のバットは見事に弾き返し、打球はレフト前に落ちた。40年以上が経ったいまも破られない記録が打ち立てられた瞬間だった―。

 

こうした高橋の活躍もあり、カープは'79年のシーズン、2位の大洋に6ゲーム差をつけ、2度目のリーグ優勝を果たす。