現在、全国の子育てするLGBTとその周辺をつなげる活動をしている「にじいろかぞく」の代表・小野春さん。彼女自身もバイセクシャルで、同性パートナーの麻ちゃんと、母2人子供3人の5人家族で15年間生活してきました。

小野さんのLGBTとしての目覚めや、麻ちゃんとの出会い。子育ての大変さや、カミングアウト問題といった、これまでの軌跡を赤裸々につづった本『母ふたりで“かぞく”はじめました。』が3月27日に発売されます。それを記念して、本書から一部を抜粋してご紹介します。

同性パートナーの娘との関係構築に悩んだ小野さんでしたが、ステップファミリーについて学ぶことで「継親は親にならなくていい」と知り、じっくりと時間をかけて娘と向き合う決意が固まりました(その経緯を綴った第1回の記事はこちら)。

第2回目となる今回は、小野さんと麻ちゃんの「結婚式」について。挙式を挙げる側も、セッティングする側も、はじめてづくしの同性カップルの結婚式。式場やドレス選び、招待客をどうするか? そして、何より大切な子供たちへのカミングアウト……。数々の山場を乗り越え、2人が手にしたものとは?

小野春さん「レインボーファミリー」今までの記事はこちら

「私たちも結婚式を挙げよう!」

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パートナーの麻ちゃんという人は、パーティやお祝い事といったものが大好きな“お祭り人間”です。情に厚く友だちも多い人なので、結婚式にもよく呼ばれていました。でも結婚式に出席すると、いつもひどく気落ちして帰ってくるのです。親しい友だちが減っていくような、大人になるにつれて自分だけ置いていかれるような寂しさを、結婚式に出るたびに、感じていたのではないかと思います。そんななかで、私は思いついてしまったのです。

私たちも結婚式をすれば、麻ちゃんは落ち込まなくなるんじゃないか?

よくある流れでいえば、お付き合いして、プロポーズされて、婚約して、両家の顔合わせがあって、婚姻届を提出して、結婚式を挙げて、新婚旅行に行って、子どもが生まれ……と、節々にケジメがあります。しかし、私たちにはそんなケジメがなく、“なんとなく”“ズルズル”と年月が経っていました。どうも“こうあるべき”がなかなか抜けない私は、「なにか、この暮らしをはじめたというケジメのようなものが欲しい」と、つねづね思っていたのです。

今でこそ、LGBTカップルの結婚式は珍しいものではなくなりました。でもこの当時、私は同性カップルの結婚式など話に聞いたこともなかったし、出席したこともありませんでした。そもそも結婚式をしたからといって、戸籍上“ふうふ”になれるわけではありません。「実行してもパーティだけで終わるなんて、ごっこ遊びみたいで、逆にすごく落ち込むんじゃないか?」という恐れもありました。

ある夜のこと、いつものようにネットサーフィンをしていると、結婚式を考えているFtM(注)カップルさんのブログを発見したのです。同じようなことを考えている人がいる! そのことに背中を押されて、麻ちゃんに「結婚式をするなんてどう?」と切り出しました。

(注)FtM = Female to Male:生まれた時に割り当てられた性別は女性で、性自認は男性である人、もしくは男性として生きる人。