「あなたのお家、高値で売れます」の甘言にダマされた60代男性の末路

信じた自分がバカでした…
週刊現代 プロフィール

「こつこつと貯金をして頭金を作って25年前に買った、夫婦の思い出が詰まった家。それをあんなチラシ一枚で、安値で手放してしまったことが、妻にも申し訳なくて……」と自分を責めるが、いったいなぜこんなことになったのか。

実はこのチラシは自宅を売りたいと思っている人を探すための「撒き餌」だったのだ。不動産コンサルタントの長嶋修氏が説明する。

「住宅の売買が成立した場合、その仲介業者には成功報酬として、売り手(康本さん)から売却金額の3%+6万円の手数料が入ります。

この手数料を稼ぐために、本当は高く買いたいという人など存在しないのに、『相場よりも高く買いたいという人がいます』というチラシを撒いて、自宅を売りたいと思っている家主を探し出すという手口なのです」

仲介業者の懐に入るのは、売り手からの手数料だけではない。この業者が「買い手」も探してきた場合、買い手からも成功報酬として売却金額の3%+6万円を受け取るのだ。

つまり、康本さんのケースでは、この不動産仲介業者が買い手も探してきた場合、チラシ一枚で210万円(3300万円×6%+12万円)を手にすることになる。

この取引で、仲介業者だけが得をすることになる。価格が相場より下がった時点で、康本さんは売却をやめればよかったのか。しかし、仲介業者は言葉巧みに売却するように促してきた。

「いまはオリンピックを目前に控えて、高くなっているだけで、この地域の相場は、今後間違いなく下がります。また、年を経るにつれて住宅の価値は落ちていきます。売却を考えているなら、いまこの価格で売っておくのが正解ですよ!」

 

そんな言葉を浴びせられると、不動産の知識がない人であれば「そういうものか。それならば……」と思い込んでしまうものだ。

「4000万円で売れると思っていたので、想定よりも700万円も老後の資金が少なくなってしまった。もちろん、手数料の105万円も支払わなければなりませんでした」(康本さん)