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日本人が知らない、外国人から見た日本の温泉が「特別なワケ」

ご存知ですか、温泉法があることを

そもそも「温泉」の条件は?

日本は「温泉大国」だ。源泉の数は約2万7000本、涌出量は毎分で約260万lにも上り、全国各地に3000近くの温泉地がある。国内外からの多くの観光客を癒やす温泉だが、そもそも普通の地下水とは何が違うのだろうか。

日本では1948年に制定された温泉法で「温泉」が定義されている。この法律によると、温泉は「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス」でなければならない。

加えて、炭酸ガスや鉄分、硫黄などの特定の物質を一定以上含有している、もしくは、温度が摂氏25℃以上であれば、「温泉」の条件を満たす。

地下水に特定の物質が含まれていれば冷たくても「温泉」。逆に、物質が何も含まれていないただの地下水でも、「25℃以上」であれば、それだけで「温泉」なのだ。

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日本では「25℃以上」だが、世界ではまた条件が違う。温泉法という法律のかたちでなくても、治癒成分がある水と認められる「鉱泉」の条件は、アメリカが「21・1℃以上」、ヨーロッパは「20℃以上」、アフリカでは「25℃以上」だ。

実はこれらの温度の基準はその国や地域の「平均気温」になっている。

沸かして高温になったお湯も普通の地下水も放置しておけば自然とその土地の平均気温と同じ温度になっていく。そのため、その土地の平均気温よりも高い温度を保つ地下水はその特殊性から異なる区分をされてきたのだ。

しかし、日本の全国平均気温は15℃ほどなのに、温泉の条件は「25℃以上」。これは日本が南北で平均気温差が大きいこと、また、日本が温泉の定義を検討し始めていた戦前時点で、台湾を植民地にしていたのが理由だ。台湾・南西諸島の平均気温は25℃近くあり、それを考慮し、現在の条件になったと言われる。

 

ちなみに「地温勾配」といって、地下100m深くなるごとに、地温は2~3℃ずつ上昇する。ボーリングの掘削技術が向上した現在、深く掘れば簡単に「温泉」が出てしまうため、その定義が再検討されている。(井)

『週刊現代』2020年3月7日号より