テレワークで「残業代が出ない」「給料激減」「クビに…」悲鳴の数々

新型コロナで見切り発車の「落とし穴」
鷲尾 香一 プロフィール

「残業代は出ない」と言われて

みなし労働時間制でも、例えば1日の労働時間を8時間と規定し、時間外労働を行った場合には割増賃金(残業代)の支払対象となるが、実際には勤務した時間や労働効率が不明瞭になり、残業代が支払われることはない。

実際に、早々に2月上旬から在宅勤務を実施したIT関連企業の30代社員は、「会社から『在宅勤務の期間中は残業代は出ない』と言われ、2月の給与が2割ほど減った」という。

この社員は、「普段は10時出勤で、出勤時の電車もそれほど混んではいない。職場のスペースは広く、社員同士も離れて座っている。入居するビル内で新型コロナの感染者も出ていない。それでも、会社がテレワークを行うという以上、給与が減っても従わざるを得ない」と、強制的なテレワークの実施に対して疑問を持っている。

また、みなし労働時間制でも、深夜労働や休日労働については企業は割増賃金を支払う義務を負うものの、在宅勤務の場合、深夜労働や休日労働を会社の指示で行ったことが明確でなければ、割増賃金の対象とはならない。

 

ここへ安倍晋三政権が実施した臨時休校も影響を与えている。40代の人材派遣会社社員は、「子どもたちが臨時休校になり、妻は仕事があるため、在宅勤務になった私が子どもたちの面倒を見ることになった。このため昼間は仕事に集中できず、結局夜中に仕事をするようになった」という。

自宅勤務の場合、職場とは違って仕事に集中するのが難しいものだ。結局、長時間労働や夜間に仕事をするようになっても、それが「自己都合」であれば割増賃金の対象にはならない。