観光客激減「震災並みの大打撃」で露呈した日本のインバウンドの弱点

新型コロナとクルーズ・ビジネスの死角
中村 正人 プロフィール

欧米のクルーズ会社が投入する魅力的な客船の急増は、低迷していた日本のクルーズ市場に強いインパクトを与えただけでなく、西日本を中心にした各港湾で誘致の機運が高まった。この時期、日本のメディアは盛んに中国人観光客の「爆買い」を報じ、中国クルーズ客による「経済効果」を期待した。

しかし、中国発クルーズ市場が拡大する一方、日本側の寄港地は盛り上がらなかった。上陸客が増えても、地元の経済界に貢献しているという実感がなかったからだ。

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「中国式ビジネスモデル」の限界

中国経済の成長が日本の消費市場の活性化に影響を与えた、わかりやすい事例となった中国発クルーズ市場だが、その特徴は「費用が安く、期間が短い」カジュアルクルーズだった。

そこには、中国式ビジネスモデルの弊害があった。集客のために過度に安価なツアー代金でクルーズ客を集め、寄港地での免税店からの売上に応じたコミッションでコストを補填するビジネスモデルである。

 

こうした実態ゆえに、どんなに多くの観光客が訪れても地元にお金が落ちない現象を「ゼロドルツーリズム」、また観光収入が本来受け取るべき地元から海外に漏出することを「観光収入のリーケージ」と呼ぶ。これは日本だけでなく、中国客が多く訪れる韓国や台湾、香港、タイなどでも早くから指摘されていたことだった。

そうこうするうちに、この中国式ビジネスモデルに限界が見られるようになった。中国からの訪日クルーズ旅客数は、2018年、19年と2年連続で減少し始めたのだ。