人間の顔はなぜ「毛」で覆われていないのか? その深すぎる理由

実はこんなに「合理的」だった
マーク チャンギージー プロフィール

女性に色覚異常が少ない理由

これまで述べてきたように、私たちの持つ、肌の色を通したテレパシーの力は、他人の感情の状態や気分を読むのに役に立つ。だが、他人が病気のときやとても苦しんでいるとき、それに気づく上でも役に立つ。

多くの病気や障害やけがは、手足の血液の酸素飽和度や流れの変化につながる。こうした血液にかかわる変化のせいで肌の色が変わり、それが肉眼で見て取れる。一般に、血の巡りが悪いと鬱血が起こり、青みがかって(いつもより色が濃く)見える。血液が不足している肌は黄色っぽく(いつもより色が薄く)見える。酸素不足の肌は緑がかる。これは、急性の酸素欠乏を示すありふれた臨床症状である中枢性チアノーゼを理解する上で欠かせない。動脈血の酸素が不足すると毛細血管が反応し、鬱血が起こり、普通は紫がかって見える肌は、緑みが増して青っぽく見える。

色覚異常が女性よりも男性に多いのはこのせいではないかと、私はときどき思ってきた。男性の1割近くが色覚異常なのに、女性は0.5パーセントに満たない。それどころか、新世界ザルは、メスにしか色覚がない。オスはすべて色覚を持たない。人間の場合には、女性は色覚異常がめったにないばかりか、普通以上の色覚を備えている人さえいる。通常の色覚には錐状体は三種類で十分であるにもかかわらず、四種類持っている人がいるのだ。

 

女性のほうが色覚に対して強い淘汰圧を受けてきた理由について、さまざまな筋書きを語れるだろうが、紹介する価値のある仮説がある。あくまで推論にすぎないが、その淘汰圧が臨床的利点を(とりわけ赤ん坊のために)与えてくれるというものだ。