人間の顔はなぜ「毛」で覆われていないのか? その深すぎる理由

実はこんなに「合理的」だった
マーク チャンギージー プロフィール

ロバート・トリヴァーズによると、私たちの感情の多くは、互恵的利他主義に必要な条件を維持する役割を果たすという。怒りは、見つけたぞ、罰を覚悟しろというシグナルを裏切り者に送る。恨みがあると、裏切り者に対する罰の履行が長期に及ぶ。そして、もし裏切りを発見されたら、赤面のようなシグナルは、心から悔いていることを伝える手段となる。

心理学者で言語学者のスティーヴン・ピンカーが雄弁に推測しているように、そうした感情のシグナルは、感情が電球のようにスイッチを入れたり切ったりできたなら、互恵的利他主義を強要する役には立たないだろう。

被害者は、怒るかどうかを自ら決められたら、裏切り者を罰しないほうが自分のためになるかもしれない。裏切り者はいつも裏切るとはかぎらないし、将来、何かの役に立ってくれるかもしれないのだから。その反面、裏切り者は、それを察して、裏切りを思いとどまらなくなるかもしれない。

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だが、怒りは裏切り行為に対する自動的で止めようのない結果だと感じていたら、裏切り行為を思いとどまるだろう。そして、もし裏切りのそしりを受けた人が、思いどおりに悔恨の感情のスイッチをあっさりオンにできたら、彼を非難する人たちは、本心からそうしていると信じる理由がほとんどなくなる。

 

しかし、赤面が本物の後悔のもたらす、自動的で止めようのない結果であると思って間違いなければ(つまり、意識的にでっち上げるのが難しい反応ならば)、非難する側は暗黙の謝罪を受け入れる可能性が高くなる。