人間の顔はなぜ「毛」で覆われていないのか? その深すぎる理由

実はこんなに「合理的」だった
マーク チャンギージー プロフィール

この特別な感知装置とは、いったい何か? それは、人間の目の中の色受容器、もっと一般的に言えば、色覚だ。人間の目は血液の二つの変数(酸素飽和度と量)を、肌の色を感知することで測定する。色覚は人間に、エンパス(他者の感覚を、自分のことのように体感できる「共感能力者」)のような読心の能力を与えてくれたのだ。

この仮説に照らすと、私たち人間の肌がむき出しである理由について、自然に一つの考え方が浮かび上がってくる。色の調節は、むき出しの肌では見えても、柔毛に覆われた肌では見えない。

 

したがって、色覚を持つ霊長類がむき出しの部分も持っているのかもしれず、むき出しの部分は、色によるシグナリングのためにあるということかもしれない。つまり、もし映画を映して見られるようなむき出しの肌がなければ、肌をフルカラーの肌映像ディスプレイに変えるような色覚を進化させても意味がないということだ。

そして現に、色覚のある霊長類は顔にむき出しの部分があり、色覚がない霊長類は、典型的な哺乳動物の、柔毛で覆われた顔をしている。図1aには、私たちのようなフルカラーの色覚を持たない霊長類の代表たちが示してある。彼らは明らかに柔毛で覆われている。

図1

色覚を持つ霊長類には、二つのタイプがある。図1bの新世界ザルは、メスだけが色覚を持つ。図1cの、私たちのような旧世界霊長類は、オスもメスも色付きで見える。写真を見ればわかるとおり、色覚を持つ二つのグループはどちらにも、むき出しの部分がある。そして、たいていは色覚がなく、顔が柔毛で覆われている原猿類の霊長類のうち、色覚を持つ二種類は、原猿類の枠を破って、むき出しの顔を持っている(図1bのいちばん上のエリマキキツネザルと、ここには載っていないシファカ)。