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人間の顔はなぜ「毛」で覆われていないのか? その深すぎる理由

実はこんなに「合理的」だった

ヒトの目は、進化の過程で「異能」を獲得し、それが人間を人間たらしめた──刺激的な視点を打ち出したことで話題の『ヒトの目、驚異の進化 視覚革命が文明を生んだ』(マーク・チャンギージー著、柴田裕之訳)。著者が、人間の顔が「むき出し」である理由を解説する。

どうして「むき出し」なの?

私たちはむき出しの顔を毎日目にするし、こうした顔を持って何百万年も進化してきたから、私たちにとって顔がむき出しなのは、目が二つあるのと同じぐらいあたりまえに思える。顔がむき出しになっているほかの霊長類を見ても、驚いたりしない。だが、毛むくじゃらの人間の顔を見たら、びっくりして目をぱちくりさせるだろう。

私たちはむき出しの顔や肌にそれほど慣れているので、むき出しの顔を持っているのがどれだけ珍しいか、なかなかわかりづらい。

典型的な哺乳動物の顔は柔毛で覆われている。霊長類の祖先もやはり毛むくじゃらで、今日の霊長類の一部だけが、顔のかなりの部分がむき出しになった。むき出しの顔を持つ私たちのような霊長類が変わり者であり、柔毛に覆われた祖先が見たら、これほど肌を露出させている私たちを恥ずかしく思うだろう。

そのうえ、私たち霊長類の体には、尻や生殖器、ときには胸など、ほかにもむき出しの部分があるから、なおさら恥ずかしい。なかでも人間は体毛をあらかた捨ててしまったから、いちばんひどい。

人を戸惑わせるこの露出症は、どう説明したらいいのか? たいていの哺乳動物が柔毛に覆われた顔を持っているのに、なぜ私たちと一握りの霊長類の仲間だけには、むき出しの部分があるのか?

 

色覚を持つ霊長類、持たない霊長類

人間は生理的状態が変化すると、体のさまざまな部位に送られる血液の量が変わることが多い。その結果、肌に色などの変化が出る。そして、人間は肌の内側の血液を感知するようにデザインされた独自の特別な装置を備えており、それが窓となって私たちは他人の心を読むことができる。