地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1886年の今日、アメリカの生化学者で1950年にノーベル生理学・医学賞を受賞したエドワード・カルビン・ケンダル(Edward Calvin Kendall、1886-1972)が誕生しました。
アイビーリーグの1つに数えられる名門・コロンビア大学で博士号を取得した彼は、1930年代にミネソタ州の病院で関節炎(リウマチ)患者についての不思議な現象に気付きます。手術や出産などのストレスを伴うできごとの後で、関節炎の痛みが一時的に軽減する患者がいたのです。
このことからケンダルとリウマチの専門医フィリップ・ヘンチ(Philip Showalter Hench、1896-1965)は、ストレスが原因となって生産されるホルモンが体内で抗リウマチ剤としてはたらいたと予想し、共同で研究に取りかかります。
その結果、ウシの副腎皮質から抽出した化合物が予想通りのホルモンであると同定し、化合物Eと名付けました。
1948年に臨床試験が認められると、最初に化合物Eを投与された患者は驚くべき回復を見せます。
この出来事は「ニューヨーク・タイムズ」の一面で「奇跡の薬」として報道されて大きな注目を集め、ケンダルとヘンチは同様の研究を進めていたポーランドの化学者タデウス・ライヒスタイン(Tadeus Reichstein)とともに1950年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
現在、ケンダルとヘンチが化合物Eと呼んでいたものは、ステロイドの一種「コルチゾン」として知られています。
コルチゾンは注射などによって投与されると体内でコルチゾールに変化し、炎症やアレルギーを抑える効果があります。また、コルチゾンやコルチゾールは、肝臓がグリコーゲンからグルコースを生成するのを促進し、血糖値を上昇させる作用も持っています。