ある日突然“地獄”に…小4女児虐待死事件「加害者家族の後悔」

加害者と被害者の間で
阿部 恭子 プロフィール

心愛さんのためにすべきこと

筆者は裁判傍聴を通して強く感じることは、心愛さんがとても賢い子どもで必死に生き延びようとしていたことである。

第5回公判では、心愛さんが通っていた小学校の担任が証言をした。遮蔽措置により傍聴席から証人の姿は見えないが、比較的若い女性のようだった。

心愛さんが、父親から暴力を受けている事実について、担任に相談するのではなくアンケートに書いたのは、校長や教頭など力のある存在に気がついて欲しかったからではないだろうか。

支配的な父親の下で無力な母親を見てきた心愛さんは、過酷な状況を生き抜くために権力構造を見抜くセンスを身に付けていたように感じる。

母親に助けを求めたことが発覚すると父親の暴力が増すように、間違った相手にSOSを出せば、事態はさらに悪化することを何より怖れていたはずだ。

勇一郎氏の両親は心愛さんを可愛がっていたが、勇一郎氏との関係も悪いわけではなかった。心愛さんもそれを理解しており、勇一郎氏との間で起きたこと全てを話すことは遠慮せざるを得なかったであろう。

 

心愛さんを担当した児童福祉士と児童心理士も証言をしたが、ふたりとも比較的若い女性のようで、証言内容からも非常に頼りない印象を受けた。

無力な母親の下で育った心愛さんにとって、過酷な状況を変えてくれるような頼りになる大人はいなかったのだ。