電力供給も食材廃棄も解決!「最適化問題」に「最適な解」を導く方法

人間だけで「本当の最適化」はできない

「人によって基準は異なりますが、状況に応じて効率的なアクションを出せるのが強化学習なのです」

もちろん、GRIDは100%ベストな最適化解決をしているわけではない。いま、最適化問題では量子コンピュータの活用が始まっている。すでに一部製品化したモデルもあるなど、実用化を進めている。

今後は、実際の問題を量子コンピュータも活用して解くそうだ。従来の最適化計算では、組み合わせが膨大になると厳密計算が困難になるので、探索的に良い解を求める方法を取る──「良さそうな解を出す」ことが目的だった。

 

だが、量子コンピュータを使えば、よりベストな回答を提供できるようになるそうだ。

ちなみに、量子コンピュータに関してGRIDは、2019年7月にはIBMの「IBM Q Network」にも参加したり、論文を発表したりしている。

IBM Q Network

手動の「最適化」から、自動の「最適化」へ

曽我部氏が取材時に繰り返したのは「人間では最適化問題を解決しきれない」ということだった。

ひとつの課題を解決するぶんにはまったく問題ないものの、最適化をするにあたって5個、10個と考慮しないといけない制約や条件があると、通常人間は思考を放棄・妥協してしまう。その点、機械学習などの技術を使えば、考慮すべき条件が多くても最適化を果たしてくれる、と曽我部氏は言う。

「いま、私たちが暮らしているこの社会は、人間が何年にもわたって努力して『最適化した』結果だと思っているんです」

「もちろん、100年前の東京と、いまの東京とでは、いまのほうが生活しやすいことのほうが多いはずです。ただ、これは人間が手動で導き出した結果。裏を返せば、これからの時代では機械の力で最適化が可能になります」

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「GRIDでは電力やサプライチェーンなど、社会インフラの最適化問題を解決しています。徐々に最適化することで、社会が抱える課題を解決し、より生活しやすい環境に変えていけるはずです。最適化は簡単なことではないですが、社会的意義のあることだと思います」

複数手法を用いて最適化問題に立ち向かうGRIDが心がけているのは、“アルゴリズムありき”で課題を解決しないということだ。アルゴリズムありきだと、どうしても解決できない壁にぶつかることがあるそう。反面、GRIDは顧客ニーズに応えることで、ひとつずつ社会課題を解消していく。

その先にあるのは、最適化された世界だ。