新型コロナ、世界銀行の「パンデミック債」暴落が意味すること

WHOはパンデミック宣言を出さないが…
鷲尾 香一 プロフィール

元本毀損の条件はすでに満たしている

「パンデミック債」は、2017年に世界銀行(以下、世銀)が、2014年のエボラ熱のような感染症拡大による危機に際し、新興国に対して速やかに資金を拠出するために発行した。いわゆる「CAT債(大災害債券)」の一種で、感染規模や拡大のスピード、感染者の発生国数に応じて支払いを実行する。

パンデミック債は、債券保有者に対し保険プレミアム相当分などを含め、高い利回りが支払われるが、パンデミックが発生した場合には元本のすべて、あるいは一部が毀損され、新興国での感染症対策に充当される。

世銀のパンデミック債は2つの部分から構成されている。クラスAは比較的リスクが低く安全なもので、利回りは6ヵ月LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)+6.5%に設定され、発行額は2億2500万ドル。クラスBはリスクが高く、利回りは6ヵ月LIBOR+11.1%、発行額は9500万ドルだ。

 

世銀では、パンデミック債は高利回りを反映して、投資家や年金基金などから募集額の2倍の応募があったとしている。

リスクの高いクラスBで元本が毀損する条件の一つとして、「死者数が1ヵ国で250人、発生国以外で20人」となっているが、新型コロナウイルスによる死者数は、すでにこの条件を満たしている。