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妻を亡くし、広すぎる我が家を売って「寝たきり」になった男性の後悔

最後まで自宅を売ってはいけない

思い出を売ってしまった

「父は30年以上も住み続けた自宅を売り、小さなマンションでひとり暮らしをしていました。新居のマンションは駅からも近いし、交通の便も良い。3分も歩けばコンビニがあってスーパーも近い。息子としても、これなら父ひとりでも安心だと思っていました。

ところが、それまでの生活を捨て、慣れないマンションに引っ越したことで、結果的に父は早死にしてしまいました」

大阪府在住の真田和也さん(50歳、仮名)はそう語る。彼の父親である幸雄さん(享年71)が亡くなったのは3ヵ月前のこと。

長らく東京郊外の私鉄沿線に暮らしていた幸雄さん。彼が引っ越しを決意したのは、大腸がんを患っていた妻・信子さん(享年74)との死別がきっかけだった。

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ひとりきりになった幸雄さんにとって、一戸建ては広すぎた。いっそ、わが家を売って便利なマンションで暮らそう。そう決めた幸雄さんは自宅から電車で30分、JRとも接続しているターミナル駅の近くに1LDKのマンションを購入した。

新居は築5年、エレベーター完備で、快適な住環境に思えた。ところが、幸雄さんは引っ越してからすぐに強いストレスを抱えるようになった。

 

「引っ越して1週間も経たないうちに、父は電話で『今日、誰とも話さなかった』と寂しさを口にするようになりました。

前の家ならば、外に出れば否が応でも顔馴染みに会って世間話ができた。引っ越しでその人間関係がなくなったことに戸惑っていました」