定年で自宅を売り、賃貸に引っ越して“地獄”を見た夫婦の末路

もう取り返しがつかない…
週刊現代 プロフィール

まず、現在のマンションに移り住むための引っ越し代や敷金・礼金で60万円近くがかかった。小さくなる住まいに合わせて家電や家具もほとんど買い替えたので、50万円近くが消えた。意外なほどに「初期費用」がかさんでしまった。

新居に住み始めてからは、月々の家賃はもちろん、1万円の管理費も発生する。秋山さんは車を手放さなかったため、駐車場代に毎月2万円。生活費に加え、家賃や管理費がかかることの重さを次第に実感するようになったという。

「4000万円の貯金があるうちは『なんとかなるだろう』と思っていたのですが、いまは『どうしてこんなことがわからなかったのか……』と後悔しています」

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秋山さんのように、長年住んできた一戸建てを引き払って、夫婦2人でコンパクトな暮らしをしたいというのは、誰もが夢見る「老後のささやかな幸せ」だ。

しかし秋山さんのように、目先の資金不安から自宅を売ってしまったことで、ささやかな幸せが「真綿で首を絞められるような苦しみ」に変わる可能性があるのだ。

 

『「最期まで自宅」で暮らす60代からの覚悟と準備』の著者で、住生活コンサルタントの大久保恭子氏は「定年後に自宅を売って老後資金に、と安易に考えるのは誤り」だと指摘する。

「近年、高齢になってから生活が困窮する『老後破産』が問題になっていますが、自宅を手放してしまった人ほど、老後破産に陥る可能性が高いのです」