副作用のケアもどんどん進歩してきている

男女ともに、抗がん剤による外見の悩みでダントツ1位なのが、「頭髪の脱毛」だ。この問題に注目されるのが、頭を冷やすことで頭皮への血流を抑制し、毛根への抗がん剤によるダメージを軽減する『頭部冷却装置』だ。

「頭部冷却装置は、脱毛予防効果があり、海外では導入している病院が多いですね。日本では医療機器として承認されましたが、現時点では保険適用になっていません。機器の値段も高く、人件費の問題などがあり、ほとんどの病院が、導入までこぎつけていないというのが現状です」(勝俣医師)

実は、頭髪の脱毛を経験した人の約1割は、治療前に比べ満足のいく量の再発毛がないことも分かっている。脱毛したとしても再発毛しやすい頭皮環境を維持する意味でもこの装置の普及が期待されている。

また、手足のしびれや爪の変色、変形などの症状が出やすい抗がん剤の副作用の一部を軽減する、手足を冷やす『冷却グローブ』もある。保険適用でないが、勝俣医師の病院ではサービスとして提供しているという。

野澤さんによれば、ペットボトルや保冷剤で冷やすことでも同じような効果が得られるとの報告もあり、患者に勧めているという。私の友人も病院の許可をもらい、保冷材を入れた小ぶりの保冷バッグを持ち込み、抗がん剤の点滴中に手袋や靴下を二重にした手足の指先を冷やしていた。

このように、外見にでる副作用を軽減する方法の研究・開発も進んでいる。今後もっと副作用コントロールが可能になることを切に期待したい。

また、従来から言われる脱毛や爪の変形変色、皮膚のくすみのほか、分子標的薬といった新しい治療法の開発で、新たに外見にでてくる副作用もあるという。

「湿疹やニキビのような湿疹、皮膚乾燥、爪周囲炎などの副作用が出る分子標的薬もあります。ですが、皮膚へ副作用が出た方が効果が得られるなどのエビデンスがある薬剤もあるため、副作用コントロールをしながら、治療を継続できるようにしている。これも腫瘍内科医の大切な仕事です」(勝俣医師)

たかが見た目、と思われがちだが、QOLのためには重要な要素だ。photo/iStock