闘病を知らない友人から「きれいになったね」と

しかし、そうはいっても“脱毛”は、男女にかかわらず悲しくショッキングなものだ。男性はスキンヘッドにするという手があるが、女性の多くはウィッグや帽子を使う。最近の抗がん剤治療の多くは通院なので、出費はかさむが脱毛をカバーするアイテムがなければ外出できないというのが現状だ。

しかも、脱毛は頭髪だけでなく全身に及び、それ以外にも変化が出る。私の場合、眉、まつ毛の順に抜け、肌や爪に強いくすみが出て、人相が変わった。メリハリのない顔にくすみが加わると、体調が良い日でも、「いかにも病人」という雰囲気のままなのだ。この顔を前の私を知っている人はどう思うだろう、と想像すると心が萎えた。

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ただ私は美容ジャーナリストという職業柄、外見を自然にリカバーする簡単な美容のポイントを知っていた。そこで体調がいい日に「元気に見える」メイクを施し、ウィッグをかぶってイベントに参加したところ、私の病気を知らない同業者からなんと「あれ!? なんかきれいになった」と言われたのだ。

病気前より今のほうがきれい!?と。その瞬間、病気になってからどこか気後れしていた心が、シャキンと立ち直った。「これでがんも乗り越えられる!」と思え、同時に「化粧の力ってすごい」と改めて知ったのだ。そして、その想いがきっかけとなり、“がん患者さん対象のメイクレッスン”を始め、気づけば10年以上も続けている。

脱毛していたときの筆者自身のメイク中写真。頭髪、眉、まつげも脱毛。撮影/小泉佳春
脱毛とくすみで病人的に見えていた顔もメイクで変わることを知った。撮影/小泉佳春