新型コロナショックで大荒れの株式市場、これからどう動く?

ウラで進行するもう一つの脅威とは
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

一方で、日本には2年前から26年ぶりの流行となるASFとは別のウィルス、「豚熱(CSF)」も広がっており、予防措置を含めてすでに16万頭以上が殺処分された。ASFが侵入すれば被害が一層深刻化することが危惧されるので、日本政府は検疫検査を厳格化するなど、水際での阻止に懸命だ。
(なお、加熱調理されたものなど市中に出回っている輸入肉は検疫検査を通過した安全なものだし、繰り返しになるがASFやCSFに感染した肉を食べても人間には感染しない)

豚の生産が回復するまでには、4、5年はかかると見られる。大幅な豚肉不足に見舞われた中国は、貿易戦争の中にもかかわらず米国からの豚肉輸入を7割以上増やした。日本も豚肉消費のほぼ半分をアメリカやカナダを中心に輸入に頼っている。

国際的な食糧争奪戦という有り難くない材料が、株式市場のテーマになる恐れも出てきた。

「スーパーバグ(超細菌)」の恐怖

もう一つ、こうしたトレンドに無関係ではないのは、どんな抗生物質も効かない「スーパーバグ(超細菌)」と呼ばれる細菌感染の世界的増加だ。

病院などでの感染以外に、豚、牛、鶏などに与えられる抗生物質が超細菌の土壌となっているという指摘がある。米国では2017年にFDAの規制が強化されたが、今でも広範囲に家畜に抗生物質が与えられている。昨年はウォールマートで売られていた豚肉からスーパーバグが見つかった。

英国政府の調査によれば、スーパーバグによる死者は世界で年間70万人。有効な対策が見つからなければ、2050年までに1000万人の死者が出ると警告している。超細菌もすぐ国境を超えるようだ。英国ニューキャッスル大学の調査は、インドで最初に見つかったスーパーバグの一種が、3年で北極圏にまで到達した例を報告している。

 

「ローカル」な事象があっと言うまに「グローバル」な問題となり、他人事が自分事になる時代には、地球は一つという視点も大切だ。

日本の官民が中国に大量のマスクなどを緊急輸送したことは中国のネットで多くの人々の心を打った。水際防衛ももちろん大事だが、国際的な助け合いもますます重要ではないかと思う。