新型コロナショックで大荒れの株式市場、これからどう動く?

ウラで進行するもう一つの脅威とは
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

中国から2億頭のブタが消えた?

例えば、こちらは「動物から動物」の感染で、人には感染しないのであまり話題にはなっていないが、もう一つの脅威がアフリカ豚熱(ASF)だ。

中国の豚肉価格のチャート(中国豚肉卸売スポット価格指数)を見ると、ビックリする。昨年の6月くらいまで20程度だった指数が現在50と、2倍以上に爆騰しているのだ。

何が起きたのかーー。 

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米国農務省によると、2018年までの世界の豚肉生産は年間1億1300万トンで、その半分近く(5400万トン)が中国の生産だった。豚肉なしの中華料理など考えにくい通り、中国は5500万トン程度を消費する世界最大の豚肉消費国でもある。

ところが2018年から中国で広がったアフリカ豚熱の影響で、今年は世界の豚肉生産が9500万トンまで激減すると見られている。生産が3400万トンまで落ち込む中国では、一気に2000万トンもの供給不足となり、輸入を3倍以上に増やしてもギャップを埋められないため、価格が急騰しているのだ。

アフリカ豚熱の致命率(罹患した母集団の特定期間内の死亡率)は極めて高く、FAOの関連サイトでも「100%にも上る(“up to 100%”)」とされている。一頭でも伝染が確認されれば飼育している全ての豚を屠殺処分することになるので、畜産農家にとってはまさに死活問題だ。

中国は公式には、昨年の10月までに120万頭を屠殺処分したと発表している。しかし米国農務省は、2017年に7億400万頭(世界の55%)だった中国の養豚数がASF発生後の2018年末には4億2800万頭と、4割も減少したというデータを出している。このことから実際の処分は100万頭などではなく、軽く1億頭を超え2億頭にも届くと見られているのだ。

オランダの金融機関ラボバンクは、中国の処分が3億5000万頭に上った可能性すらあると推計している。ざっと中国のブタの半分、世界のブタの4分の1が消えたことになる。とんでもなく大きな数字だ。

 

人ごとではない。FAOによれば2月20日現在、ASFは韓国、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどのアジア諸国に広がっている。農研機構によると、このウィルスはスペインの生ハムで140日以上、燻製や塩漬けのハムでも300日以上、感染性を失わないという報告がある。

日本ではまだASFにかかった豚は報告されていないが、空港で旅行者が所持していたソーセージなどからASFの遺伝子が検出されている。