新型コロナショックで大荒れの株式市場、これからどう動く?

ウラで進行するもう一つの脅威とは
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

気をつけなければならないのは、市場は様々な情報に複合的に反応するのであって、コロナウィルスだけが常に市場のテーマとなるわけではないことだ。市場の動きのうち、どこまでが新型ウィルスに対する反応なのか、それだけ抜き出して捉えるのは不可能だ。

例えば今の日本株の下げの中には、消費税引き上げの反動もあるだろう。また米国株を見ても、S&P指数は昨年3割も上昇していたので、利食いが入りやすいタイミングだった。

また、新型ウィルスの懸念というより「株が売られたから、株が売られた」という現象も起きたようだ。先月24日の1週間、世界の株式取引のボリュームが突如として急増した。特にコンピューターの自動プログラムによる超高速・高頻度取引(HFT)が多いシカゴの金融先物市場(CME)では、24日の取引量が通常の倍に膨れ上がっている。「モメンタム」というが、株が一方向に動き出したために、その波に乗る自動トレードが一斉に増えた可能性がある。

このような株式市場をどう乗り切るかについては、SARSの例が一つの参考にはなるものの、景気サイクルの違いに気をつけなければならない。

SARSの場合は、発生が2002年の11月。株価が大底をつけたのは、WHOが警告を発した2003年3月12日から約1か月後の4月28日だった。日経平均はピークから11%下がり、バブル崩壊後の最安値となる7607円をつけた。でも、7月のWTOの収束宣言を待たずにそこから株価は大きく反転し、ラリーに突入。2006年には株価は倍以上になっていた。

ただし、この時はちょうど景気サイクルが世界的に回復するタイミングで、長期金利が上昇に転じたことが市場の大きな転換点となった。春になって気温が上がりSARS懸念が後退したことよりも、デフレ懸念の後退の方が株式市場にとってはずっと重要なテーマだったと記憶する。

さらに日本株は、小泉政権の郵政民営化などの改革路線が好感されたことが加わり、2005年の夏から一段と大きく買われた。

これに対して今は、リーマンショック以降の異様に長い景気回復がいつ終焉するのかと世界中の投資家が神経質になっている局面だ。新型コロナウィルス懸念が後退しても、景気サイクルのピークアウトが市場の懸念として残るリスクを考慮すべきだろう。

 

グローバル化と疫病と株

歴史を遡れば、「株(投資)と国際化と疫病」は密接に結びついている。

本格的なグローバル化の幕開けは、15世期の大航海時代からと言われる。株は、リスクの高い海の「ベンチャー投資」を小口に分割し、多数の投資家にリスクを分散したことから始まった。世界最初の株式会社はオランダの東インド会社と言われる。

パンデミックは、古くはギリシャ時代や14世期欧州の「黒死病」などがあるが、大航海時代には、伝染病の破壊力が一段とスケールアップしてしまった。