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新型コロナショックで大荒れの株式市場、これからどう動く?

ウラで進行するもう一つの脅威とは
新型コロナウイルスの影響により1か月強で、世界の株式は5兆ドル(約550兆円)の価値を失った。市場はいちはやく「パンデミック」…、最悪の事態を織り込んだようにも見えるが、今後どう動くのか? また、そのウラで進行するもう一つの脅威とは?
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、グローバル時代の投資と疫病の関係を多角的に論じる。

「パンデミック」は織り込み済みか?

「準備を進めて参りましたx月x日の会ですが……」

やっぱり来たか、と思った。筆者の元に、ずっと前から計画されていた同窓会の延期通知が届いたからだ。 

中国政府が新型コロナウィルスのヒトからヒトへの感染を公式に認めた1月20日から、1か月以上が経過した。国際便は欠航が相次ぎ、会社員は自宅通勤、行事はキャンセルされ、学校は突然の臨時休校。サプライチェーンも遅延し、さらにオリンピックはどうなるんだ? という心配も。先週、世界の株式市場は5日間の取引で10%前後の下落と、総崩れした。

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では、株式市場はコロナウィルスによる経済的なダメージをどれくらい想定しているのだろうか? 言い換えれば、どれだけ「織り込み済み」なのだろう?

1月20日から2月28日までに、世界の株式(MSCIワールド指数)は11%程度下落した。この間ざっと5兆ドル(約550兆円)の価値が消失したことになるので、新型ウィルスだけで市場が動いたと仮定すれば、世界のGDP約80兆ドルの6%程度の影響はすでに見込んでいるとも言える。

TOPIX指数もこの間13%下落し、50兆円ほどの価値が消失した。同様の仮定の元では、日本のGDPの9%くらいの影響は株価に「織り込み済み」だとも解釈できる。

一方、様々な世界の調査機関が新型ウィルスの経済的損失を試算している。例えば、オーストラリア国立大学のウォーウィック・マッキビン教授は、2003年のSARS(重症急性呼吸症候群)による世界の経済的損失は400億ドル(約4兆4000億円)で、新型ウィルスの損失はその3、4倍(1.2〜1.6兆ドル)になるだろうとしている。

 

これを上記の5兆ドルと比べれば、株価の方がより大きな損失をすでに見込んでいることになる。新型ウィルスの流行が、地域的な「エピデミック」なのか、それとも世界的な「パンデミック」かについては、世界保健機関(WHO)が、今はまだパンデミックの「準備段階」でありパンデミックと宣言するのは時期早尚だとしているが、株式市場はいち早くパンデミックを織り込んでいるようだ。

では、それならば「悪材料出尽くし」が近いことになり、株は絶好の「買い時」と言えるのだろうか?