早期退職後も「年収700万円を死守したい」50代会社員の「甘さ」

「やりたいことがない」会社員の末路
前川 孝雄 プロフィール

また、50歳のAさんの現在の年収800万円は年功型給与で上がり切った額である。決して現在の市場価値ではない。今や日本で働く人たちの4割は年収300万円以下である。こうした相場観のなさ、逆に言うと現在の処遇がとても恵まれていることに気づけていないことも転職リスクを増大させる。

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もちろん、家族もいるミドルであれば、収入について気にするのは当然のことだろう。しかし、今後の自分の職業人生を考えるとき、本来、第一に考えるべきなのは「何をするか」であるはずだ。給料はあくまでその仕事に対する対価である。

キャリアを積んできたミドル人材が転職すれば、プロフェッショナルとしての働きと成果を求められるのは当然のことである。このごく当たり前の前提がAさんの思考からは抜け落ちていたのだ。

 

Aさんのような事例は、決して珍しくはない。大企業の終身雇用を信じて、懸命に働き続けてきたために、キャリア自律意識が鍛えられてこなかったからといえる。入社時と今とで組織内の価値観や世間の常識が大きく変わってしまったバブル入社世代にとっては、ある意味で、Aさんは典型例ではないだろうか。大企業で長年働いてきた方の中には、このエピソードを読んで身につまされる思いを抱いた人も多いのではないだろうか。