新型コロナショック、いよいよ日本経済に迫る「タイムリミット」の正体

ここがアキレス腱だ
加谷 珪一 プロフィール

(不当解雇を正当化するつもりは毛頭ないが)一部の企業が不当解雇などに走ってしまうことを前提に、生活が極度に困窮した人には直接的な支援を実施できるよう政策パッケージを準備する必要があるだろう。実際、香港やシンガポールでは、企業に対する経済支援とは別に、低所得者に対する一律の現金支給や電子マネーへのチャージ、公共料金の払い戻しといった施策が行われている。

消費者の生活が極度に悪化し、消費経済が破壊されてしまうと、仮に感染が終息しても、経済を元に戻すのは容易ではない。経済というのは需要と供給で成立しており、内需型経済にシフトしつつある日本では、これまで以上に、需要側、つまり生活者・消費者に対する支援が重要である。

3月中の封じ込めに失敗した場合は…

ちなみに、SARSは2002年11月に感染拡大が始まり、WHO(世界保健機関)が収束を宣言したのは2003年の7月なので、完全収束まで8カ月を要している。今回、すでにSARSの規模を上回っているという現実を考えると、疫学上の完全収束にはそれ以上の時間がかかるかもしれない。しかし、現実の経済は、疫学上の完全収束よりも早い段階で回復することが多く、SARSの時にも春以降、経済はかなり良くなっていた。

もし国内の感染対策が功を奏して3月中にある程度の封じ込めに成功すれば、1~3月期のGDPを犠牲にするだけで、夏以降は何とか回復軌道に乗せられるかもしれない。だが3月中の封じ込めに失敗した場合、設備投資という長いサイクルの支出に影響するので、経済への悪影響は2020年度いっぱい続くと考えた方が自然だ。

加えて筆者が気になっているのは、日本にとってもっとも重要なオリンピックについて、政府が「開催予定に変更はない」とうオウム返しのような説明に終始していることである。

 

刻一刻とタイムリミットは近づいており、最悪の事態も含めて明確な方向性を示しておかないと、それこそ日本の国際的な信用が失墜してしまう。もしそうなってしまったら、日本経済そのものに対する不信任となり、オリンピック開催の是非どころの話ではなくってしまうだろう。