新型コロナショック、いよいよ日本経済に迫る「タイムリミット」の正体

ここがアキレス腱だ
加谷 珪一 プロフィール

これはSARSが流行した全期間を通じての下落幅だが、今回はわずか1週間でダウが12%下落したので、当時よりも事態は深刻といってよい。ちなみにSARSの時には、株価が底を打ったのはハンセンが翌年4月、ダウが翌年3月、日経平均が翌年4月であった。市場の本格回復にはかなりの時間がかかると思った方がよい。

消費者、生活者に対する支援が必要

国内での感染拡大を受けて政府は、ワクチンの開発促進などを目的とした153億円の緊急対策を決定したほか、日本政策金融公庫などを通じて5000億円の緊急貸付・保証枠を設定し、観光産業など中小企業の支援に乗り出している。だが、国内経済への影響が深刻になっている現実を考えると、さらに大規模な支援が必要なのは言うまでもない。

こうした企業に対する支援策に加えて、重要となるのが生活者や消費者に対する支援である。

すでに企業の現場では、非正規労働者を無給で自宅待機させたり、派遣の雇い止めを行うといった事例が頻発している。企業に対する各種支援策を通じて、こうした事態を防ぐというのは、教科書的には正しいのだが、今はある種の非常事態なので価値観を転換する必要がある。

 

もともと経営が苦しい企業の場合、政府からの支援策があっても、それを従業員には還元せず、単なる会社の延命に使ってしまう可能性があり、経済的に弱い立場の人を中心に生活困窮者の急増が予想される。不当解雇などはあってはならないし、支援策の適正な運用ができるよう指導するのも政府の役割だが、非常時にはそれにも限界がある。