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“芸能人の薬物事件を芸能人がバッシングする”という「深刻な構造」

なぜ薬物報道のミスリードは起こるのか

芸能人の芸能人によるバッシング

現在、2年前の覚せい剤所持容疑で勾留中の槇原敬之さんの楽曲の取り扱いについて、自粛反対の声が大きいものの、一部芸能人からは相変わらずバッシングが続いている。

一方、ソニー・ミュージックレコーズは、電気グルーヴの作品を出荷・配信を停止したままである。

こうした芸能人の芸能人によるバッシングや、ファンのお陰で成り立つ音楽業界がファンの意向を無視した懲罰措置をとる傲慢さは、感情論だけでなく薬物乱用防止対策推進を阻害するものである。

現在のコロナウイルスの騒ぎでもお分かりになると思うが、専門家でもない素人のタレントコメンテーターが行き当たりばったりの意見を地上波テレビで声高に叫ぶ弊害は計り知れない。このような不安や混乱を煽るばかりの報道のありかたは、正確な情報が届かず百害あって一利なしである。

 

そもそもコロナウイルスだけでなく薬物依存症問題も人命に深くかかわっており、ただでさえ高い依存症者の自殺率の中でも薬物依存症者のそれは群を抜いている。

このように芸能界が見せしめ的に芸能人バッシングを行うことで、バッシングを自身に投影し追いつめられていくのは、一般社会で苦しむ依存症の当事者・家族であることを知っていただきたい。

※出典
(1)内閣府:自殺対策に関する意識調査 平成20年2月実施調査報告書
(2)厚生労働科学研究 いわゆるギャンブル依存症の実態と地域ケアの促進 平成20年度田中班報告書
(3)松本俊彦、小林櫻児、上條敦史、他物質使用障害 患者における自殺念慮と自殺企図の経験、精神医学51:109-117,2009 
(4)川上憲人:わが国における自殺の現状と課題 保健医療科学52:254-260,2003
※(1)~(3)は、自記式調査票による調査。(4)は、構造化面接による調査。