高齢になると、誰にでも加齢による心身の変化があらわれます。視力の衰えもその1つで、個人差はありますが年とともに誰にでも起こる目の老化が老眼です。
老眼は、目の中でカメラのレンズにあたる働きをする水晶体の弾力性が老化によって弱まり、ピントの調節機能が低下することで、近くのものが見えづらくなる症状をいいます。また、老眼は病気ではなく、加齢にともなう自然な生理現象です。
しかしながら、加齢によって起こる目の変化は老眼だけではありません。深刻な症状を引き起こす目の病気がいくつもあります。
中高年を過ぎてから目の見え方に変化があったときに「年だから老眼だろう」と放置するのは危険です。とくに、遠くも見えにくい、見がかすむなどの症状があれば、失明につながる病気の可能性も考えられます。
また、老眼であっても、メガネをかけなくても見えるからと放置したり、自己流で老眼を回復させようとすると、かえって症状を進行させてしまう場合もあります。
目が見えにくくなると仕事や家事など日常生活に支障が出ますし、物にぶつかったり転倒するなどケガの危険性が増します。歳をとっても安全にいきいきと暮らしていくためには、目の健康を守ることが大切です。
くわえて、目がよく見えている人よりも、そうでない人の方が認知症になりやすいというデータもあります。
人間の脳に入ってくる情報のうち8割以上が視覚を通したものであることから、目がよく見えていないと受け取る情報量が少なくなり、脳への刺激が減ってしまうのです。
また、目が良くないために転倒事故などを恐れて引きこもりがちの生活を続けていても、認知症になりやすくなります。
こうしたことから、目の病気は老後の安全な生活を脅かすだけでなく、認知症をも引き起こす原因といえます。
しかし逆にいえば、目の病気の予防は認知症の予防にもなるということです。