薬学研究者がクラウドファンディング挑戦で得た「3つの驚愕」とは

「最悪の研究」を提案してみよう!
井之上 浩一 プロフィール

僕らはいつも、研究成果を学会発表して、最終的に論文としてまとめています。これが一連の流れです。しかし、クラウドファンディングは、いくら学会や論文発表しても、サポーターの支援は得られません。

支援してくださる方々は、僕らの学会には来てくれませんし、専門のジャーナルも決して読まないです。

 

つまり、「何を支援者に伝えるのか?」よりも「どのように支援者に知ってもらうのか?」のほうが大事だ、という基本的なことを気づかされました。本音としては、もっと早くに気がついていれば良かったと今でも思っています。

学生たちと雑談をしていると、最近の彼ら彼女らは、ほとんどテレビも見ることなく、多くの時間をSNSや動画サイトで過ごしているそうです。少し知的な学生は、まとめニュース、コラム、ブログなどを眺めているとのこと。それはそれで、議論の余地がある生活習慣ではありますが、逆にそれがヒントとなりました。

Photo by iStock

「まずは、動画を作成する!」

クラウドファンディングをオープンして、1カ月が過ぎたあたりで、YouTubeのRitsumeikan Channelに登録です。

さらに僕らの研究室で指導を仰いでいる滋賀大学名誉教授の横山和正先生にコラムの執筆をお願いしました(締め切り直前の掲載でしたが、ものすごくバズりました)。そんな多彩なアプローチの結果、何とか多くの支援者に気づいてもらい、プロジェクト成立となりました。

プロジェクトは成立したのですが、驚くべきことに、終了後に数多くの支援の声をいただくことになりました。

いろんな機会で「知らなかった!」「もっと早くに知っていたら支援したのに……」「こんなメーリングリストで告知したらもっと支援してもらえますよ」「第二弾はやらないの?」など、さまざまなフィードバックを寄せていただいたのです。

私の想像以上に、日本中に「きのこファン」は多かったのです。もっと積極的にニッチなファン層を獲得するべきでした。

ということで、2つ目の驚愕は、「学会発表や論文投稿ではなく、SNSや動画投稿を駆使して、ニッチなファン層を獲得すること。大切なのは、とにかく私たちの存在を知ってもらうこと」です。

現在、第二弾の構想を模索しつつ、毒きのこスタンプの制作、SNS開設など、新たなファン層の獲得にチャレンジを始めました。

クラウドファンディングとは?

一般的な日本の研究者の財源は、国が管轄する科研費などが中心です。また、企業などからの奨学寄付金も、その一部です。研究資金は大きく分けるとその2つになると思います。

しかし、その源流を辿ると一般のみなさんへと繋がっていくことに気づきます。つまり、私たち研究者は、一般のみなさんが捻出したお金を迂回して頂戴し、その成果を新たな知見として提供していることになります。