Photo by iStock

薬学研究者がクラウドファンディング挑戦で得た「3つの驚愕」とは

「最悪の研究」を提案してみよう!
ブルーバックスアウトリーチ」。このコラムをご覧になっている方は、すでにご存じかもしれません。ブルーバックス発の新たな研究支援クラウドファンディングです。

立命館大学との共同による第1弾企画に参加し、見事にプロジェクトを成立させた薬学研究者の井之上浩一教授。「勢いだけで進めた企画だったので、正直、無茶苦茶に大変でした!」と語る井之上教授が、後に続く研究者のために、「本当に賛同してもらえるテーマは?」「何を支援者に伝えるのか?」「そもそもクラウドファンディングとは?」といった疑問にこたえるコラムを執筆してくれました。

果たしてその先にあった「3つの驚愕」とは? 意外な事実が次々と明らかになる打ち明け話をどうぞ!

本当に賛同してもらえるテーマは?

私たち薬学研究者は、仮説を立て、分析を行い、そのことを立証して、新しい薬の発見、診断法の開発などを目指しています。

そんな地味な研究者に対して「おもしろいリターン(クラウドファンディングの支援者に対する返礼品)を考えて下さい!」という無茶ぶりの要望。さっそく、クラウドファンディングの難所のひとつに直面です。

 

クラウドファンディングを始めるにあたり、講談社担当者と大学リサーチオフィス事務スタッフから、このようにリターンのアイディアについて要請がやってきました。

そのようなこと、まったく考えたこともありません。困惑きわまりない状況です。さてさて、支援者は何を望んでいるのか? 何に賛同してくれるのか? 頭を悩ませていました。

ですが、研究テーマについては「おもしろいですね」と事務スタッフからありがたい評価をいただきました。「毒きのこの成分を効率的にクロマトグラフィー単離精製する分析法を検討しているところです」という私たちの説明に好奇心を抱いたようです。

Photo by iStock

「ほほ、やはりクロマトグラフィーの技術は興味深いものですよね、大学の事務スタッフにも分かるものだ……」とシンパシーを感じました。

しかし、事務スタッフがおもしろがっていたのは、分析技術ではありませんでした。私があとから書き加えた「毒きのこ」、そして「新薬の可能性」がいい、と言うではないですか!! 想像を超えた事態です。

そして、議論の結果『新薬の可能性は「毒きのこ」にあり。創薬の未来につながるデータベースをつくりたい!』というタイトルへ。研究者の立場からは、少し言い過ぎではないのかと感じるタイトルでしたが……。

リターンも「研究経過報告書(立命毒きのこレポート)」、「きのこ観察会への参加」、「学会発表に謝辞のお名前を掲載」など、次々に決まっていきました。

そうです、1つの目の驚愕は、「いくら普通の研究者がクラウドファンディングのアイディアを考えても、支援者が望むことはとても思いつきません。まったくの第三者が自分たちの研究についておもしろいと思ってくれたところを素直に受け入れること」です。

支援者の「おもしろい」を受け入れよう Photo by iStock

何を支援者に伝えるのか?

次に、大変なことはサポーターを集めること。そして、何を伝えていくのか? ということです。