男の生きづらさの理由は女じゃない

僕はゲイということで、いわゆる世間が求める“男らしさ”というものを結局手にすることができなかった人間だ。だから、というわけではないけれど、すぐ横で“女らしさ”を活用してしなやかに生きる同年代の若い女性たちを見ているうちに、自分が感じている生きづらさを「女は得でいいな」という、うっすらとしたヘイトに変換してしまっていたような気がする。

女性が楽じゃないことは、母子家庭で必死に働く母の姿を見て、知っていたはずなのに。

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僕が幼い頃、父親は借金をつくり、その返済をしないまま愛人をつくって家を出て、行方をくらませてしまった。残された母親は、なぜか親戚や周りの人から「あなたが我慢しないから」と責められながら、必死で働いた。

日本の社会が母子家庭に優しくないことを身にしみてわかっていたはずなのに、女である母が苦しむ姿を一番間近で見ていたはずなのに、僕は自分が感じる男としての生きづらさを、どこかでぼんやりと女のせいにしていた。それは他でもない、男である僕自身が生んだ呪縛のせいだ

いまの日本の社会は、女性のほうがよっぽど生きづらい。でもだからといって、女はかわいそうだと言うつもりはない。僕自身、ゲイはかわいそうだと言われる度に感じてきた怒りが心の中にあるから。

だけどこれだけは言える。男性はこれ以上、自分たちが受け継いできた“男の呪い”を誰かにかけるのをやめるべきだ。女性にも、そして自分自身にも。