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新型コロナ「検査をもっとやれ」派は、むしろ不安と混乱を煽っている

その理由を統計的に考えよう

ピークを後ろへずらすことが重要

2月25日、ようやく政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が出た(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599698.pdf)。遅ればせながらも、まずは評価したい。

その後、政府は28日、全国すべての小中学校や高校などに来月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう、各都道府県の教育委員会などを通じて要請した。安倍首相はこれらについて、29日夕方、記者会見で説明した。

筆者のコラムでは、新型コロナウイルスについて、2月10日の記事「新型コロナウイルスで『習近平訪日は中止』か…状況はかなり厳しい」で中国の全人代(全国人民代表大会)延期、習近平国家主席の訪日延期を予想し、現時点でほぼその通りとなっている。さらに、2月24日の記事「新型コロナからの『東京五輪中止ショック』が日本経済の息の根を止める」で、東京五輪について5月末までに中止か否かの意思決定をする必要があると予想したが、現役のIOC委員も同じ意見を言っている。

 

筆者の予想のベースになっているのが、新型コロナウイルスの流行がどうなるかの予想である。筆者のコラムでは、常に感染者数の予想を更新している。

政府の感染症対策の基本方針に筆者は関わっていないが、この基本方針策定にあたっても、新型コロナウイルスの流行予測は決定的に重要だったはずだ。

実は、筆者が本コラムで掲載し続けてきた図は、厚労省での専門家会議で使われた図(下図)と本質的に同じものだ。

筆者が本コラムで使ってきた図は以下の通りであるが、

ここから1日あたりの新規感染者数を算出すると、以下の通りになる。

これをみると、2月25日に基本方針が出されたあとの1、2週間が重要だというのがわかる。1日の感染者数の増加を抑え(正確に言えば、後ろにピークをずらし)、「医療崩壊」を防ぐためだ。

この点は、政府の説明やマスコミの解説において、ほとんど触れられていない。

まず現状の医療体制は、一度に多くの患者に対処できない。これは、大震災などが発生したときに十分な体制がとれなかったことからも分かっているはずだが、どうも年月が経つとそうした想像力が働かなくなるものだ。普段は一度に多くの人が病気や怪我になるわけではないので、医療体制は非常時には十分に働かなくなるものだ。

人と人の接触機会を可能な限り減少させて、感染の確率を減らし、新規感染者の増加数ピークを後にずらすというのが、基本的な考え方だ。

 

もちろん、ピークを後にずらすことによって、最終的な感染者数が結果として減少することもありえるが、それは最善の努力の「ご褒美」として考えるべきで、今回の基本方針が目指すものでない。いずれにしても、目標は新規感染者数の平準化であって、感染者総数の減少を必ずしも目指してないことは留意しておいたほうがいい。

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