「男と女…あやつりつられ」梅沢富美男が語る大ヒット曲『夢芝居』秘話

梅沢富美男×小椋佳×太田省一
週刊現代 プロフィール

小椋 この曲は、言葉のリズムにもこだわっていて、「イ音遊び」というものを取り入れました。

例えば、1番は〈恋のからくり 夢芝居〉から〈行く先の 影は見えない〉まで、全てのフレーズが「イ音」で終わります。歌い手は歌いやすいし、聴き手も耳に残りやすいから、より曲の世界に没頭できるんです。

太田 言われてみれば、確かに。ほかにも、〈のぞき のぞかれ〉〈誘い 誘われ〉なんて、気が付いたら口ずさんでしまう心地よさがあります。

 

梅沢 僕の一番のお気に入りは、〈恋は怪しい 夢芝居〉という部分かな。浮気、不倫、離婚なんてしょっちゅう起こるし、痛い目にあったはずなのに、またなぜか恋をしたり、再婚を望んだりしてしまう。

男女の恋愛って本当に怪しいものじゃないですか。一筋縄ではいかない恋の本質が、この言葉に凝縮されています。

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小椋 個人的に気に入っている部分は、〈けいこ不足を 幕は待たない〉です。物事は一度始まったら待ってはくれないということを、恋と芝居を重ねつつ、我ながらうまく表現できたと思います。

梅沢 本当にそうです。舞台ってひとたび始まれば、途中でやめるなんて許されない。恋も同じで、「ちょっと待って」は通用しません。抗えない流れに飲み込まれていくものじゃないでしょうか。