入居していた老人ホーム・介護施設の「経営破綻」で地獄を見た人たち

だから、自宅を売ってはいけない
週刊現代 プロフィール

引っ越しをすると、体だけでなく頭も新しい環境になかなか馴染めない。最後に待ち受けるのは認知症だ。

上田芳子さん(51歳・仮名)の伯父(72歳)は、4年前に東京から静岡県に移住した。

「伯父は独り身で、大好きな海が近い場所で最期を迎えたいと田舎への移住を決めたといいます」

ところが移住から1年が経ち、上田さんが伯父の元を訪ねると、どうにも様子がおかしい。

「昨日の夜、なんと警察に襲われたんだよ」

突拍子もないことを言う伯父に「大丈夫?」と声をかけると、伯父は虚ろな目で急に黙りこくってしまった。

「聞けば伯父は、半年前に自宅で転倒してから引きこもりがちになり、今は、テレビばかり見ている日々を送っているというのです」(上田さん)

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何が起きたのか。前出の山田准教授が語る。

「転倒を繰り返すと外出が億劫になり、引きこもりがちです。テレビがお友達になり、いつも家の中の決まった場所にいるようになる。すると、認知機能はあっという間に落ちていき認知症になりやすくなるのです」

 

いい年をして自宅を売って「新天地」を求めたところで、待っているのは悲しい結末なのだ。

「週刊現代」2020年2月15日号より