入居していた老人ホーム・介護施設の「経営破綻」で地獄を見た人たち

だから、自宅を売ってはいけない
週刊現代 プロフィール

もう帰る場所はない

些細なことでも、それが毎日続くと気持ちが参ってしまう。人間関係のトラブルもまたしかり。

高齢者専用マンションには、貯蓄や年金額、健康状態や家族構成が似通った人が集まりやすい。それゆえに、それまでの暮らしではありえなかった人間関係の悩みが生じるのだ。

「うちは月に一度は息子がここに様子を見に来てくれますが、お宅はどうですか」といった家族のアピールや、「今度は会社の部下に誘われてゴルフに行くんですよ」といった友人自慢。

なかにはマンション専属のスタッフの名前を出して、「あなたはあのスタッフからの評判がよくないですよ」と余計な口出しをする人もいるという。

入る前と入った後で「思っていたサービス内容と違う」と気づくこともある。ファイナンシャルプランナーの太田差惠子氏が説明する。

「安否確認や生活相談に応じるサービスを売りにしている高齢者専用マンションは多いですが、『24時間見守り』とうたっていても、実際にスタッフがマンションにいるのは午後5時までで、あとは何かあったときには緊急ボタンなどでの対応というところも少なくありません。

また、介護サービスを受けるには別途おカネが必要になるケースがほとんど。要介護のレベルが進んだ結果、高齢者専用マンションを出て、結局介護施設に住むことになった、という話もよく聞きます」

 

賃貸ならまだいいが、高齢者専用マンションを購入していた場合は悲惨だ。「ここには長く住めない」と思って売却を検討しても、一般のマンションとは違い、一定の年齢以上の高齢者にしか売れないため、そう簡単には買い手が見つからないのだ。

「住まなきゃよかった」
「買わなきゃよかった」

そう思っても時すでに遅し。帰る場所はもう、どこにもない。