入居していた老人ホーム・介護施設の「経営破綻」で地獄を見た人たち

だから、自宅を売ってはいけない
週刊現代 プロフィール

簡潔に言うと、入居前に一時金を支払っている場合、倒産してもその一部を入居者に返還する仕組みや、あるいは保証金が支払われる制度などを導入している老人ホームがほとんどだ。

だが、未来設計が経営破綻した際には、さまざまな事情から、一時金がほとんど戻ってこない、保証金が支払われないという入居者が多数現れ、社会問題となった。

「運営業者が倒産しても、まとまったおカネが返ってくるからなんとかなるだろう」と思っていると、痛い目をみる可能性もある、ということだ。

無事に一時金が返ってきても、いつまでも元の施設に居座るわけにもいかず、早急に次の住まいを探さなければならない。

賃貸も借りられない

しかし、老人ホームの事情に詳しい経営コンサルタントの濱田孝一氏は、「高齢者が新たな住居を探す際には、いくつもの困難がある」という。

「行政機関が運営する特別養護老人ホームに入居できればいいですが、現在はどこもいっぱいで、入れる可能性はきわめて低い。おカネがあまりないとなると、いまより条件の悪い老人ホーム、場合によっては無認可の施設に入らざるを得なくなります。

また、普通の賃貸住宅を探してそこに移り住めるかといえば、それも難しい。家賃が安いアパートなどはバリアフリー化が進んでいないところも多いうえ、孤独死をおそれて、単身高齢者には部屋を貸さないという家主もいるのです。

健康状態が比較的良好だったり、あるいは資金に余裕がある場合でなければ、現在住んでいる老人ホームが倒産した場合、にっちもさっちもいかなくなってしまうのです」

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家族のいるところへ戻れるならいいが、そもそも家族がケアできないから老人ホームへの入所を決めたという人がほとんど。文字通り路頭に迷う人も現れるだろう。

「あのとき自宅を売らなければ……」そんな後悔の声がほうぼうから聞こえる時代が、間もなく来る。