入居していた老人ホーム・介護施設の「経営破綻」で地獄を見た人たち

だから、自宅を売ってはいけない
週刊現代 プロフィール

一時金が戻らないケースがある

老人ホームが倒産した場合、入居者たちはいったいどうなるのか。民間介護施設紹介センター「みんかい」の小嶋勝利氏が説明する。

「これまでは、老人ホームや大きな介護施設がつぶれそうだとなったら、行政機関が別の運営業者に『引き継ぎ』を頼むなどして、存続をはかってきました。

サービス内容が変わったり、慣れ親しんだ職員がいなくなるなどの多少の不便はあっても、引き継ぎ先が見つかれば、基本的には問題なく暮らせたのです」

しかし、常に引き継ぎ先が見つかるとは限らない。介護コーディネーターの山川仁氏は、こんな事例を紹介する。

「昨年5月、福岡県で老人ホームを経営していた業者が倒産しました。本当は倒産する前に、その業者自身が引き継ぎ先を探すべきなのですが、この業者はそれを探すことなく倒産。入居者の家族が慌てて次の住まいを探すことになりました。

結局、みなさん次の住まいを見つけることができて事なきを得たのですが、運よく別の介護施設に空きがあっただけで、見つけられない場合もありえる。

それでも、もとの業者はなんの責任も問われない。現制度では入居者と家族が泣き寝入りするしかないのです」

もしも引き継ぎ先が見つからなかった場合、入居者はさまざまな困難に見舞われる。まずはおカネの問題だ。前出の小嶋氏が説明する。

 

「これまでは、広域に事業を展開している老人ホームの経営が立ち行かなくなり、ほかの事業者に引き継がれた場合、『家賃が前より少し上がった』ということはあっても、入居前に支払った一時金が返ってこないというケースはほとんどなかったと思います。

ところが、昨年1月に未来設計が倒産したケースでは、一部の入居者への返金が行われなかったのです」