定年後に「自宅を売った」人たち…そのヤバすぎる末路

「不安」が人生を支配する
週刊現代 プロフィール

総務省の「家計調査年報」によると、世帯主が60歳以上の1ヵ月の支出のうち、住居費は2万円以下となっている。言うまでもなく持ち家で、すでにローンを払い終えているからこの額で収まっているのだ。

「年金以外に老後2000万円が必要」という話も、持ち家であることを前提に計算されている。月々の家賃やローンの支払いがある場合は、さらに多くの資金が老後は必要になる、ということだ。

 

広くなってしまった自宅に住み続けることによる寂しさや不便もあるだろう。しかし、小さなマンションへの住み替えを考えている人は、月々の住居費がかからないことのありがたみや、近所付き合いという「見えない財産」が老後の人生ではどれだけの価値を持つかについて、いま一度、考えてみたほうがいい。

田舎に憧れて引っ越した人の「悲しいその後」

会社員人生を終え、残りの時間は静かな場所で暮らしたい。そんな憧れを抱いて、都会からちょっと田舎に引っ越そうと夢見る人は多い。だが、現実は甘くない。

都内の銀行に勤めていた島本正さん(66歳・仮名)は定年後に夫婦で山梨県に移住をした。

「甲府市の郊外で駅から車で約10分の木造中古住宅を買いました。期待通り自然は豊かで不便もしていませんが……実は東京に戻りたいと思っています。近所との人間関係がわずらわしいのです」

声を潜めてこう語る島本さんは、地方移住について取材を受けることすら、近隣の人には知られたくないのだという。

「近所の人に会うたび、子どもの仕事や親の体調など、プライベートについてあれこれ聞かれるのです。『昨日は洗濯ものを干していなかったね』と声をかけられることもありました。朝から晩まで生活を監視されているようで息苦しい」

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