定年後に「自宅を売った」人たち…そのヤバすぎる末路

「不安」が人生を支配する
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「住居費ゼロ」のありがたみ

もうひとつ懸念すべきが「孤独死」のリスクだ。現在、孤独死する人の数は年間3万人にも達している。行政書士で孤独死防止の活動を行う武井敦司氏によると、地域とのつながりが希薄化することが孤独死の大きな原因のひとつだという。

「自宅を手放し、小さなマンションやアパートに引っ越すことは、経済面ではプラスになることもある。しかし、引っ越した先の地域コミュニティが衰退していたり、住民同士の連携がうまく機能しておらず、孤立してしまうリスクもあるのです。

夫婦が元気なうちはいいですが、どちらかに先立たれた場合、地域との関係が希薄であれば、そのまま引きこもり状態となることも少なくない。最悪の場合、誰にも知られないまま亡くなってしまうこともあるのです」

 

移り住んだ地で、一から新たな近所づきあいを始めることは案外難しい。孤独死について調査している淑徳大学の結城康博教授が説明する。

「年を取ってから新しい環境に適応するのは、想像以上に大変です。高齢になってから見知らぬ土地に引っ越した結果、人間関係になじめないことはよくあるのです。次第に近所付き合いを諦めて、家にこもりがちになってしまう人も珍しくない。

そうして行動範囲が狭まると、出歩く機会が少なくなってしまい、体が少しずつ弱っていきます。体力が低下することで外に出歩く意欲が失われ、さらに健康状態が悪化する悪循環に陥ってしまいます」

結城氏が続ける。

「隣近所の住人と顔見知りで、近くの喫茶店や蕎麦屋に行けば誰かしら知り合いがいるという環境だと、積極的に外に出る理由があるので、健康も保たれ、孤独死も起こりにくい。長年その地に住んでいることで得られる『見えない財産』を軽んじてはいけません」

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経済的な理由から自宅を売却して小さなマンションに移り住んだ結果、悲惨な最期を迎えてしまう――当人たちが望んだ最期でないことは、言うまでもない。