新型コロナに苦しむ韓国で「左派の文在寅叩き」が加速…急先鋒の素顔

韓国政界が恐れる「デスノート」の使い手
牧野 愛博 プロフィール

陳氏は2012年から東洋大教授の職にあったが、当時は李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)両保守政権時代と重なっていた。陳氏は筋金入りの進歩だったため、政権から白い目で見られていた。その陳氏を陰に日向に守ったのが東洋大総長だったという。

韓国の政界筋は、陳氏が教授職を辞した理由について「東洋大教授の立場で曺国夫妻を批判すれば、同大総長を守るための政治的な行動だと邪推される可能性があると考え、総長に迷惑をかけたくないという思いが働いたようだ」と語る。

失望する文在寅支持者たち

こうした陳氏の一連の行動に、文政権の政策に不満を募らせていた人々は拍手喝采した。保守系が喜んだのはもちろんだが、進歩系の一部や中間層にも陳氏を支持する人々が大勢いるという。韓国メディアが、連日のように陳氏の発言を追いかける背景がそこにある。

文在寅大統領は2017年5月の大統領就任演説で「今日から私は、国民皆さんの大統領になる。私を支持しなかった国民の一人一人も私の国民、私たちの国民として仕える」「文在寅と共に民主党の政府では、機会は平等、過程は公正だ」「特権と反則のない世の中を作る」と訴えた。

しかし、結果は「ネロナンブル(私がやればロマンスだが、他人がやれば不倫)」と呼ばれる独善的な政権運営に陥った。今や、60人とも70人とも言われる文在寅大統領の側近たちが群れをなして総選挙に出馬しようとする状況に至っている。

これが17年の大統領選で文氏に投票した人々の失望を買っているのだという。

 

対する陳氏は職をなげうった上、総選挙への出馬も目指していない。そして、具体的に行動する姿勢が、かつて進歩系のカリスマだった金大中元大統領が唱えた「行動する良心」に重なるのだという。金大中氏は「傍観するだけではいけない」と訴える一方、「どんなにダメな政権も、それを支持する人がいなければ存在し得ない」と説いて、1人1人の自覚と行動を訴えた。