あまりに突然の春休み前倒し

日本政府が突然、教育現場への根回しもなしに、2月27日木曜日の夜、3月2日月曜日から日本全国の小中学校の休校を呼びかけた。春休みが前倒しになるので、休みが約1ヵ月、突如増えた形だ。

私は今スウェーデンに留学している。だから、日本での新型コロナウイルス拡大のニュースには心を痛め、一日も早く収まることを祈るしかできない。スウェーデンでも今回のウイルス感染は、もちろん大きなニュースになっているし、イタリアはじめヨーロッパでも感染は拡大している。だから、休校にすることそのものが致し方ない背景も、ある程度は理解はする。

ただ、それをわかった上でも、準備の時間をほぼ与えられない今回の強引なやり方については、子育ての大変さや、シングルマザーのギリギリな状況が軽視されているとしか思えてならないのだ。せめて、安倍首相の発言に、働く親たちに対してケアするような言葉が含まれていたら……。

まず、27日の発表では特に親への配慮の言葉はひとつもなかった。「子どもの健康と安全」を第一に考えた当然の措置だと声高らかに行った宣言のように感じた。29日、追加で開かれた記者会見では、安倍首相は「小さいお子さんをお預かりできるよう、できる限りの対策を講じます」とし、学童保育の問題にも言及した。また、保護者の休職に伴う所得の減少に関しても、特別処置での助成を行うと提言はした。同時に、内閣府の発表で、3月中は最大26万4000円のベビーシッター補助を行うこともわかった。

ただ、2日間であっても、そのケアに一切言及のない「宣言」に、衝撃を抱えた親たちは多かったはず。未知のウイルスとの闘いで、未曽有の状態であることはわかるが、真のリーダーシップを発揮して、27日の時点で不安を払拭するような宣言をしてほしかったと思うのは私だけだろうか。

学校休校に対して政府が出している要請はあくまでも「要請」だ。文部科学省が各自治体学校に送った「通知」によれば、ある程度は自治体の采配に任されてもいる。つまり、自治体によって休校にしないという措置も「可能」ではある。

実際、島根県では県内の感染者が確認されていない状況を鑑みて、高校と特別支援校は休校しないことを決めたし、小中も市町村で8校は休校しないとしている。群馬県太田市は現時点で休校措置を取らないと表明、前橋市はケア体制を作った上での休校を検討している。千葉県などは休校にはするけれど「親が休めない低学年は受け入れる」という。

急なお休みに親だけでなく、子どもたちも困惑している 写真/Getty Images

とはいえ、一国の首相がここまで急に全国的に休校要請をしたのは類を見ない。しかも、「子どもたちの健康と安全のために」という内容の安倍首相の答弁に、反対の意を唱えるには勇気も必要だ。すべての親にとって子どもの健康と安全ほど大切なものはないのだから。

私は公衆衛生の専門家ではないし、子育ての経験があるわけでもない。それでも尚、ジェンダーについて学び、自分も周りもキャリアと子育て両立の当事者になりつつあるひとりの24歳女性として、なにより新型コロナウイルス感染拡大を防がなくてはならないことが一番大切だと理解した上で、今回の件を通じて痛感した「育児への無理解」を指摘させていただきたい。