米海軍の病院船「コンフォート」(Photo by gettyimages)

新型コロナ対策に「病院船建造」を唱える人々が、完全に的外れなワケ

超党派議連発足で盛り上がっているが…

「病院船保有」より先にやるべきことがある

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、海上で患者の治療や隔離ができる「病院船」の導入を目指す超党派の議員連盟が2月27日、設立された。病院船を活用した医療を推進する法案を議員立法として今国会へ提出し、成立を目指すのだという。

病院船は通常、有事の際の傷病者を収容・治療するために各国の海軍によって運用される。旧日本軍は多くの病院船を活用していたが、専守防衛の自衛隊は海外で戦争する想定がなく、病院船は保有していない。

安全保障関連法が施行され、海外での活動が拡大された現在の自衛隊にとって、また自衛隊以外の一般国民にとっても、病院船は「ない」より「ある」方がよいのかもしれない。だが、一足飛びに「病院船保有」との結論を出すより先に、まずは政府として適時適切な対応策を打ち出すことと、現在の医療体制の検証こそが重要だ。

Photo by gettyimages

もともと国会には、与野党議員でつくる超党派の「病院船建造推進議員連盟」があった。東日本大震災の発生を受けて、同議連が政府に強く働きかけた結果、2011年度の補正予算で、病院船建造の調査費3000万円が計上された。

しかし、翌12年度の当初予算に防衛省が盛り込もうとした設計費1億円は、財務省の反対によって計上を見合わせることになった。

 

あきらめきれない同議連は翌12年5月、「国際医療貢献・病院船団」の実現を目指すシンポジウムを参議院議員会館で開いた。検討された病院船の規模は500床。救命救急、外科、内科などを備え、発電機や淡水化設備なども搭載し、国内の災害時だけでなくアジア各国への派遣も視野に入れていた。

こうした議論を反映して、内閣府は有識者を集めて「災害時多目的船(病院船)に関する調査・検討」を複数回にわたって行い、13年3月、報告書をまとめている。