まず、武漢肺炎で亡くなった世界中の方々のご冥福と、感染された方々の早期のご回復を祈念する。また、これ以上の感染の拡大は避けなければならない。
もちろん、感染症は自然災害の1つと言ってよいであろうし、ウイルスに罪はない。意外に知られていないが、そもそも細胞膜を持たず、独立して存在できないウイルスは生物学的には、チリや埃と同じ「無生物」に準じる扱いであり、あくまで「生物」である「細菌」とは異なった存在だ。
しかし、自然災害や不可避の事故も、「人間の備え」によって大きく変化する。
投資の神様ウォーレン・バフェットの「私には未来は予測できない。もし、そんなことができるという人がいたら、私の前に来て実証してほしいものだ」という言葉は正しい。いまだにバフェットの目の前で「実証する」人は現れていない。
「それでは、あなたはどのように投資判断をするのですか」と質問されたときの答えが「ある出来事が、何月、何日、何時、何分に起こるかは予想できないが、『何かの災害がいつか起こることはわかる』。だから、市場がどのようになっても大丈夫なように『備え』をしておくのが私のやり方だ」である。
つまり、地震予知をはじめとした災害の予測はほとんどうまくいっていないが、防災訓練や堤防の建設を行うことは重要であるということだ。それが一体どのようなもので、いつ起こるのかはまったくわからないが、「まさかの事態」が「いつか必ず」起こるのは必然だということである。
その観点で言えば、今回の武漢肺炎という世界的大災害は、パンデミックだけではなく、「まさかの事態=有事」のことを日本が十分考えていなかったことを我々に教えてくれた。