「私は、同性愛者だったりする可能性があるのだろうか?」
激烈なワンオペ育児に消耗するなかで、自分を見つめ直し、同性愛者の友人ができたことで、自分がバイセクシャルだと分かったという小野春さん。やがて彼女は、同じくセクシャルマイノリティの“麻ちゃん”と知り合います。1児のシングルマザーだった麻ちゃんと家庭を支え合いながら、ふたりは同性パートナーとして共に人生を歩むように……。それから15年、母2人と子供3人の5人家族で生活してきました。

現在、全国の子育てするLGBTとその周辺をつなげる活動をしている団体「にじいろかぞく」の代表・小野さんのLGBTとしての目覚めや、麻ちゃんとの出会い。子育ての大変さや、カミングアウト問題といった、これまでの軌跡を赤裸々につづった本『母ふたりで“かぞく”はじめました。』が3月27日に発売されます。それを記念して、本書から一部を抜粋してご紹介します。

その第1回は、LGBTファミリーとしての生活から3年経っても、麻ちゃんの娘と分かりあえなかった小野さんの苦悩の日々をお届けします。

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麻ちゃんの娘に認めてもらえない

麻ちゃんと私、まだ小学生にもならない子どもたち3人との生活が本格的にはじまったある日のことでした。

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「遊んでいたおもちゃを片付けて」と言ったところ、遊びに夢中の娘(麻ちゃんの連れ子)が「片付けたくない」とゴネはじめました。当時の娘はまだ保育園児。「もう寝る時間だよ」と、いくら言ったところで納得しやしません。この頃には私の連れ子である息子たちも「娘ばっかり贔屓(ひいき)してずるい!」と、文句を言うようになっていたので、お菓子や特別扱いで折り合うのも難しくなっていました。そして娘は大きな目で睨み、「ウッ」と思案する私に、きっぱりとこう言ったのです。

ママはそんなこと言わない!

もう、それはそれはショックでした。

私は娘に認めてもらえてない!
それどころか、邪魔者だと思われている!

この状況、どう受け止めればよいのでしょう?
さらに追い討ちをかけたのが、娘の“私とママだけが家族”アピール。これが日に日に増していきました。

ママと私はこっちね!
西川チーム!

娘は、常に子どもらしい残酷さで私を否定してくるのです。どうしていいのか分からなくて、麻ちゃんにも相談しました。でもそれは解決になるどころか、娘へのダメ出しだと受け取られ、麻ちゃんの機嫌が悪くなるだけという悪循環。何度もケンカを繰り返しているうちに、この件について口にすると露骨に嫌な顔をされるようになり、私は徐々に「誰にも話せない、相談できない」と追い込まれていきました。